マニマヘーシュ・カイラース
(Mani Mahesh Kailash)
マニマヘーシュ湖の上にそびえ立つ、5,653mのマニマヘーシュ・カイラースは、シヴァ神の住居であると考えられている。別名チャンバカイラース(Chamba Kailash)。
インドのヒマーチャルプラデーシュ州のチャンバ地区の内、バルモウル小地区に位置し、その頂上はブディル(Budhil)渓谷にある町バルモウル(Bharmour)から26 km離れた位置にある。
ヒンドゥ教徒にとって主要な巡礼地の1つであり、その頂上の麓、標高3950mにあるマニマヘーシュ湖は、ヒマーチャルプラデーシュ州の人々、そして特にこの地域のガッディ族の人々から深い崇敬の念が抱かれている。
バドン(bhadon)の月には新月から8日目に湖のほとりで祭典が開かれ、そこには何千人もの巡礼者が集まる。
伝説
ある伝説では、シヴァ神がマタ・ギルジャ(Mata Girja)として崇拝されている女神パールバティと結婚した後に、マニマヘーシュを形成したと言われている。
この地域で発生する雪崩や吹雪は、シヴァ神の不快感の現れだとする伝説は他にも多数あり。
地元の神話ではシヴァ神はマニマヘーシュカイラースに住んでいると信じられている。この山のシヴァリンガの形をした岩層は、シヴァ神の顕現であるとされている。
山のふもとにある雪原は、地元の人々からシヴァのチョーガン(Chaugan)、「遊び場」と呼ばれている。
また、エベレストを含むはるかに高い山頂が登頂制覇されているにも関わらず、マニマヘーシュカイラースに登頂した者はこれまでいないため、無敵であると言われている。
ある伝説によると、地元の部族・ガッディが羊の群れと一緒に登ろうとしたが、彼は羊とともに石に変えられた。山頂の周囲に散らばる小さな峰々は、羊飼いと彼の羊たちの残骸であると考えられている。
別の伝説によると、山に登ろうとした蛇も失敗し、石に変わったという。
信者達は、頂上を雲で覆う悪天候も、シヴァの不快感の現れだとし、シヴァが望んだ時に山頂を拝むことができる、と信じている。
ガッディとマニマヘーシュ
ガッディの都であるバルモウル(Bharmour)のすぐそばにあるのが、マニマヘーシュ・カイラース。
ガッディ達は、そこがシヴァとその妻ガウリの冬の住居であると信じている。この山は、その麓にあるマニマヘーシュ湖と共に大きな崇拝の念を抱いている。
今でもガッディ族の結婚式では、新郎新婦がマニマヘーシュ湖を意味する水の器の周りを4回新婦の家で、そして3回新郎の家で 、計7回歩く風習があるが、それはこの神話の再演である。